この夏、上橋菜穂子さんの本を
だーっと、読みました。
この世界に重なるもう一つ別の世界
その世界の変化が、この世界にも変化をもたらすという
そういう世界の有様が、物語の背景にある。
そういうことは実際あるかもしれない、と思いながら
読んでいると、架空の世界の、架空の話であるのに
自分もいつか知っていたはずの世界であるかのように
感じられるのが不思議でした。
ファンタジーはあまり読んでこなかったのですが
こんな風に自分の世界と重ね合わせられるとなると
俄然おもしろくなってしまいました。
本は、自分自身のなかにあるスクリーンに
情景を思い浮かべる余地があります。
読み手が思い浮かべた情景は、書き手が描いた世界とは
少し違うかもしれない。
だから、本のなかの物語は
読み手が完成させる、唯一無二の話である
と言えると思う。
そこが好きです。
だから、どこかに、いまの自分と重なる部分が無いと
読み進められない、という気もします。
「獣の奏者(Ⅰ~Ⅳ・外伝)」
闘蛇編と王獣編を、夢中になって、読みました。
この本に、一番、惹かれた。
「狐笛のかなた」も、とてもよかった。
装丁もタイトル文字も素的です。
すごいですね。
ひとりの人の頭の中から、これだけのテーマ
物語が生まれてくるというのは。
そうしてここから
上橋さんが好きだと言う、サトクリフの作品へ
読み進めたのです。