風が吹いて桜の花が散ると
もみじの若葉が生えてきて
山も畑も緑がきれいです。
よもぎ、すぎな、かきどおし
のかんぞう、からすのえんどう
ふき、のびる、にら、みつば
アスパラガスがにょきっと出てきて
いちご、カモミール、えんどうの花が咲きました。
苦い葉っぱは天ぷらで
八重桜の花は塩漬けに
チューリップ、キンセンカ
春の花が風に揺れ
カエル、カニ、ハチ
小さな生き物たちが動き出しました。
この世界は淡々として美しく、豊かです。
でも今、雨と一緒に、風に吹かれて
なにかがきっと 大地に降りそそいでいる。
わたしたち人間がまき散らしているものは
あらゆる命に等しく降りそそぎ
食物連鎖を通して自ら摂取することになる。
その連鎖から、人間だけ逃れることはできない。
できないだろうと思う。
わたしはわらびを食べる。
大地に降りそそぎ、わらびが取り込んだなにかも
一緒に食べる。
目の前のことと、どこか遠くのことは
そんな風につながっている。
世界があんまり美しいので
いのちに申し訳がなくて、かなしくなる。